レンズマウントができるまで
レンズとカメラを高い精度で固定するだけでなく、スムーズで迅速な着脱が可能であり、耐久性にも優れていること。それが交換レンズのマウントに求められる最も基本的な品質です。これらの要求に応えるべく、私たちは原材料として金属を厳選することから始め、精密な加工を施していきます。
上の画像は、レンズマウント部品の製作過程を撮影したものです。まだカメラボディ側だけしか加工されておらず、このあとレンズ側の面を仕上げていくことで切削の工程は完了します。高精度の切削マシンによって削られたばかりの金属部品は、暖かい金色に輝いています。
フォクトレンダーブランドで発売しているMバヨネットアダプターリングはレンズマウントの一種です。手にすれば、1ミリ程度の薄さながら堅固かつ精緻な物品であると感じて頂けると思います。このアダプターリングの原材料は、真鍮の無垢材。それを切削加工することで形づくられているのです。
金属の塊から複雑な形状を削りだすことで、耐久性と精度を確保する。あれだけ薄いアダプターリングを作るのに、随分と贅沢に材料が使われていると感じられる方もあるかと思います。しかし、これこそが長き使用に耐え、持ち主の愛着に応える道具を生み出すのに相応しい製造の方法であると、私たちは考えているのです。
高精度の切削技術により形を与えられたレンズマウントは穴開け加工を施したあとメッキの工程などを通過することで製品となっていきます。コシナのこだわりは、すべての工程に存在しますが、ものづくり最初の一歩から、そのこだわりは始まっているのです。